債権調査手続
第0 目次
第1 総論
第2 債権調査手続の内容
第3 破産債権に変動があった場合の取扱い
第4 確定した裁判に基づく財産分与義務の取扱い
第5 未払リース料債権の取扱い
第6 破産債権届出と時効中断
第7 無委託保証人の弁済に基づく求償権と,破産債権該当性及び相殺の可否
*1 法人・会社の倒産・破産ネット相談室HP(LSC綜合法律事務所)に「破産手続における債権調査手続とは?」が載っています。
*2 最高裁平成29年12月19日決定が出てから,個人再生事件において,親族等の再生債権の実在性が以前よりも厳しく確認されるようになったといわれています。
第2 債権調査手続の内容
第3 破産債権に変動があった場合の取扱い
第4 確定した裁判に基づく財産分与義務の取扱い
第5 未払リース料債権の取扱い
第6 破産債権届出と時効中断
第7 無委託保証人の弁済に基づく求償権と,破産債権該当性及び相殺の可否
*1 法人・会社の倒産・破産ネット相談室HP(LSC綜合法律事務所)に「破産手続における債権調査手続とは?」が載っています。
*2 最高裁平成29年12月19日決定が出てから,個人再生事件において,親族等の再生債権の実在性が以前よりも厳しく確認されるようになったといわれています。
第1 総論
1(1) 破産事件における債権調査手続には以下の種類があり(破産法116条),法律上の原則は①書面方式でありますものの,実務上は②期日方式がほとんどです。
① 書面方式(破産法117条・118条)
→ 一般調査期間に破産管財人作成の認否書,並びに届出債権者及び破産者の異議書面によって調査を行う方法です。
② 期日方式(破産法121条)
→ 一般調査期日に破産管財人が認否を行い,破産債権届出書(=債権届)を提出した破産債権者及び破産者が異議を述べる方法です。
遅くとも一般調査期日の1週間前までには認否予定書(破産規則42条1項)が作成されており,通常は,破産管財人の認否予定書を閲覧・謄写することで初めて届出をした破産債権者が分かります。
(2) 民事再生の場合,書面方式だけが採用されています(民事再生法100条参照)。
(3) 大阪地裁では,一般破産債権までの配当が確実な場合を除き,債権調査期日を定めない「留保型」を原則としています。
(2) 民事再生の場合,書面方式だけが採用されています(民事再生法100条参照)。
(3) 大阪地裁では,一般破産債権までの配当が確実な場合を除き,債権調査期日を定めない「留保型」を原則としています。
2 破産債権者が配当を受領するためには,債権届出期間内に債権届を裁判所に提出することで破産手続に参加する必要があります(破産法111条,破産規則32条)。
債権届出期間を経過した後であっても,一般調査期日が終了する前であれば,破産債権者は,債権届を裁判所に提出することで破産手続に参加することができる(破産法122条1項本文)のであって,通常は,債権届出期間内に提出された債権届と同様に一般調査期日において債権調査が行われます(破産法122条1項ただし書参照)。
3(1) 破産債権者が債権届を提出する場合,判決書の写し等(存在する場合に限る。)の他,破産債権に関する証拠書類の写し等を添付する必要があります(破産規則32条4項)。
(2) 再生債権者が債権届を提出する場合,判決書の写し等(存在する場合に限る。)を添付すれば足りる(民事再生規則31条3項参照)のであって,再生債務者等が,必要があるときに,証拠書類の送付を求めるだけです(民事再生規則37条)。
なぜなら,①清算型手続である破産手続の場合,破産者が保有していた破産債権についての証拠資料が散逸していること等により,破産管財人が破産債権について十分な証拠資料を保有していない場合が多いのに対し,②再建型手続である再生手続の場合,再生債務者が再生債権についての証拠資料を保有していることが通常と考えられるためです。
4(1) 破産債権届出書については,原則として原本だけを提出します(破産規則32条5項参照)。
(2) 再生債権届出書については,原本の他,写しも提出します(民事再生規則32条)。
5(1) 破産債権は,破産法に特別の定めがある場合を除き,破産手続によらなければ行使することができません(破産法100条1項)。
そして,破産手続中に破産債権に関する訴えを提起した場合,受訴裁判所は,当該訴えを却下します(最高裁昭和43年6月13日判決参照)。
(2) 破産法100条1項に関する特別の定めとしては,以下のものがあります。
① 別除権の行使(破産法65条)
② 相殺権の行使(破産法67条)
③ 別除権の目的である財産の受戻し(破産法78条2項14号)
④ 租税等の請求権についての権利行使(破産法100条2項)
⑤ 給料の請求権等に対する弁済の許可(破産法101条)
⑥ 破産管財人による相殺(破産法102条)
6(1) 破産債権者がその債権について満足を受けるためには,破産債権の届出をし(破産法111条),届出がされた破産債権の額及び優先順位について債権調査及び確定手続を経た上で(破産法117条以下),確定した破産債権の額及び優先順位に基づき配当を受ける(破産法193条以下)という手続を踏む必要があります。
(2) 民訴法260条2項の裁判を求める申立ての相手方が破産手続開始の決定を受けた場合における同申立てに係る請求権は,破産債権です(最高裁平成25年7月18日判決)。
7 大阪地裁第6民事部では,一般管財事件に関して,現在は換価がすべて終了してからでないと債権調査は実施しない運用となっています。
7 大阪地裁第6民事部では,一般管財事件に関して,現在は換価がすべて終了してからでないと債権調査は実施しない運用となっています。
しかし,ほぼ換価が終わっているような場合,裁判官の判断により,事案に応じて債権調査を先行させることも可能であるとされています(月刊大弁24年5月号43頁参照)ところ,そのような取扱いの方が破産法31条3項に沿うと思われます。
8(1) 確定債権についての破産債権者表の記載は確定判決と同一の効力を有します(破産法221条1項前段)。
そのため,破産債権者表に記載された債権の消滅時効については,民法174条の2第1項後段により,その時効期間は10年です(最高裁昭和44年9月2日判決)。
(2) 破産法221条1項によって債権表に記載された届出債権が破産者に対し確定判決と同一の効力を有するとされるのは,届出債権につき異議がないことが確認されることによって,債権の存在及び内容が確定されることを根拠とするものであると考えられます(最高裁平成7年3月23日判決)。
9 債権届出期間内に債権届を提出しなかった破産債権者は,配当から除斥されるだけであって,破産債権を失うわけではありません(最高裁昭和58年11月25日判決)。
ただし,破産者に対する免責許可決定が確定した時点で破産債権を失います。
9 債権届出期間内に債権届を提出しなかった破産債権者は,配当から除斥されるだけであって,破産債権を失うわけではありません(最高裁昭和58年11月25日判決)。
ただし,破産者に対する免責許可決定が確定した時点で破産債権を失います。
10 破産手続参加は,破産債権者の権利行使としての実質を有し,民法152条の規定によって破産手続参加に認められる時効中断の効力は,右権利行使が継続している限り維持されます(最高裁昭和57年1月29日判決。なお,先例として,最高裁昭和53年11月20日判決)。
11 債権者が債権届を提出していない場合,破産者の連帯保証人は破産債権届出書を提出することで,破産管財人からの配当を受領することができます(破産法104条3項ただし書)。
そのため,連帯保証人がいる場合,一般調査期日の前に認否予定書を閲覧・謄写することで,債権者が債権届を提出しているかどうかを確認しておくことが望ましいでのであって,破産管財人による情報提供は期待しない方が無難です。
12 執行力のある債務名義又は終局判決を有しない破産債権者の届出債権に対する債権調査期日における破産管財人又は他の債権者の異議は,右破産債権届出の時効中断の効力に影響を及ぼすものではありません(最高裁昭和57年1月29日判決)。
12 執行力のある債務名義又は終局判決を有しない破産債権者の届出債権に対する債権調査期日における破産管財人又は他の債権者の異議は,右破産債権届出の時効中断の効力に影響を及ぼすものではありません(最高裁昭和57年1月29日判決)。
第2 債権調査手続の内容
1 総論
(1) 破産管財人が認め,かつ,破産債権者が異議を述べなかった場合,破産債権は確定します(破産法124条1項)。
(2) 一般調査期日に出頭した破産者だけが異議を述べたにすぎない場合,破産債権は確定し,裁判所書記官が破産債権の調査の結果を記載した破産債権者表(破産法124条2項)の記載は確定判決と同一の効力を有することになります(破産手続との関係につき破産法124条3項,破産者との関係につき破産法221条1項)。
なぜなら,破産手続において,財産に対する管理処分権を剥奪された破産者(破産法78条1項参照)は,破産財団の内容,帰趨に影響を及ぼすことはできないからです。
(3) 破産者の異議がある場合,破産債権者表の記載に基づく債権確定の効力は破産者に及びません(破産法221条2項)から,強制執行をされることはありません。
もっとも,免責許可の申立てがあった場合(破産法248条4項に基づき,破産手続開始の申立てをした場合,当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたとみなされます。),免責許可の申立てについての裁判(免責許可決定又は免責不許可決定)が確定するまで,個別の強制執行は禁止されます(破産法249条1項)。
そのため,破産者に対して債権確定の効力が及ぶかどうかは,免責不許可となった場合に限り問題となります。
(4) 免責許可決定が確定した場合,裁判所書記官がその旨を破産債権者表に記載します(破産法253条3項)。
そのため,破産債権者が,免責許可決定が確定していないふりをして破産債権者表に基づき強制執行をしてくることはありえません。
2 破産債権査定申立て及び破産債権査定異議の訴え
(1) 破産管財人が認めず,又は届出をした破産債権者が異議を述べた場合,破産債権者は,①裁判所破産部に対し,債権調査期日から1ヶ月以内に破産債権査定申立て(破産法125条1項)をして破産債権査定決定(破産法125条3項)を求めたり,②裁判所通常部に対し,破産債権査定決定に不服がある場合,決定の送達を受けた日から1ヶ月以内に破産債権査定異議の訴え(破産法126条1項)をしたりします(異議の訴えについての判決は,訴えを不適法却下する場合を除き,査定決定を認可する判決又は変更する判決となります(破産法126条7項)。)。
ただし,訴訟係属中であった破産債権については,受訴裁判所に対し,訴訟手続の受継申立てをします(破産法127条)。
(2) 破産債権査定異議の訴えについての出訴期間の定めは,破産法の目的に照らし必要かつ合理的なものであり,実質上裁判の拒否と認められるような不合理な点は認められませんから,憲法32条に違反しません(会社更生法に関する最高裁大法廷昭和45年12月16日決定参照。なお,自作農創設特別措置法に関する先例として,最高裁大法廷昭和24年5月18日決定参照)。
(3) ①破産管財人が認めない旨の認否をした場合,破産管財人は,当該届出をした破産債権者に通知しなければなりません(破産規則43条4項)。
②届出をした破産債権者が異議を述べた場合,裁判所書記官は,その旨を,当該届出をした破産債権者に通知しなければなりません(破産規則43条5項)。
(4) 破産債権査定異議の訴えを提起する場合の訴額は,配当の予定額を標準として受訴裁判所によって定められます(破産規則45条)。
(5) 破産債権査定異議の訴えは,純然たる訴訟事件です(最高裁大法廷昭和45年6月24日決定参照)。
(6) 破産債権査定申立て及び破産債権査定異議の訴えにおいては,各破産債権の額及び原因等について,破産債権者表に記載されている事項だけを主張できます(破産法128条)。
そのため,例えば,損害賠償請求権として債権届をした後,破産債権査定異議の訴えにおいて,不当利得返還請求権に訴えの変更をすることはできません(民事訴訟法143条4項)。
(7) 異議等のある破産債権に対する配当額については,破産管財人は,最後配当又は簡易配当において,破産債権者のために供託しなければなりません(破産法202条1号・205条前段)。
第3 破産債権に変動があった場合の取扱い
1 破産手続開始決定前の破産債権の譲渡
(1) 破産手続開始決定が発令される前になされた,破産債権である指名債権の譲渡は,民法467条1項に基づき,譲渡人がこれを破産管財人に通知し、又は破産管財人がこれを承諾しなければ,破産管財人に対抗することができません(最高裁昭和49年11月21日判決)。
ただし,民法467条1項所定の通知又は承諾は,債権の譲受人が債務者に対して債権を行使するための積極的な要件ではなく,債務者において通知又は承諾の欠けていることを主張して譲受人の債権行使を阻止することができるにすぎないものです(最高裁昭和56年10月13日判決)。
(2) 破産手続開始決定によって,破産財団に属する財産の管理処分権は破産管財人に専属する(破産法78条1項)ものの,破産手続開始決定によって破産管財人が新たな法律的地位を取得したものとはいえない点で,破産管財人は民法467条2項の「第三者」に当たりません。
そのため,破産者が破産手続開始決定の前から負担する債務に関して,債権譲受人は,確定日付のある通知又は承諾がない場合でも,破産管財人に対して債権譲渡を対抗できます(大阪高裁平成21年10月16日判決)。
2 破産手続開始決定後の破産債権の譲渡等
(1)ア 破産手続に参加している破産債権者に対し,事前求償権者が破産債権の全部を代位弁済した場合(例えば,住宅ローンの保証会社が銀行に対し,住宅ローンの代位弁済を実施した場合),その求償権の範囲内において,債権者が有した権利を破産債権者として行使できます(破産法104条4項及び5項)。
これに対して,事前求償権者が破産債権の一部だけを代位弁済したにすぎない場合,債権者が有した権利は全く行使できません(破産法104条4項及び5項は,一部弁済による代位を定める民法502条1項の特則です)。なお,①破産法104条4項は,最高裁昭和62年9月4日判決の判示内容を明文化した条文であり,②破産法104条5項は,最高裁平成14年9月24日判決の判示内容を明文化した条文です。
ただし,破産債権者と連名で破産債権届出名義の変更届を出すことで,一般調査期日の経過後又は一般調査期間の終了後であっても,債権者が有した権利を行使できるようになります(破産法113条1項,破産規則35条)。
イ 同様の手続は個人再生の場合にも存在します(代位弁済の取扱いにつき民事再生法86条2項・破産法104条4項,再生債権届出名義の変更届につき民事再生法96条,民事再生規則35条)。
(2) 債務者の破産手続開始の決定後に物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合,複数の被担保債権の全部が消滅していなくても,債権者は破産手続において上記弁済に係る債権を行使することはできなくなります(最高裁平成22年3月16日判決参照)。
(3)ア 破産手続に参加している破産債権者に対し,連帯保証人等ではない人が破産債権の全部を弁済した場合であっても,破産債権者と連名で破産債権届出名義の変更届を出さない限り破産手続に参加できません。
イ 破産手続に参加している破産債権者に対し,連帯保証人等ではない人が破産債権の一部を弁済した場合,開始時現存額主義を定める破産法104条2項の適用がありませんから,破産債権者が破産手続に参加できる額は弁済を受けた分だけ減少します。
第4 確定した裁判に基づく財産分与義務の取扱い
離婚における財産分与として金銭の支払を命ずる裁判が確定し、その後に分与者が破産した場合において,右財産分与金の支払を目的とする債権は破産債権であって,分与の相手方は,右債権の履行を取戻権の行使として破産管財人に請求することはできません(最高裁平成2年9月27日判決)。
なぜなら,離婚における財産分与は,分与者に属する財産を相手方へ給付するものであるから,金銭の支払を内容とする財産分与を命ずる裁判が確定したとしても,分与の相手方は当該金銭の支払を求める債権を取得するにすぎず,右債権の額に相当する金員が分与の相手方に当然帰属するものではないからです。
第5 未払リース料債権の取扱い
1 ファイナンス・リース契約の場合
(1) ファイナンス・リース契約は,リース期間満了時にリース物件に残存価値はないものとみて,リース業者がリース物件の取得費その他の投下資本の全額を回収できるようにリース料が算定されているものであって,その実質はユーザーに対して金融上の便宜を付与するものであるから,右リース契約においては,リース料債務は契約の成立と同時にその全額について発生し,リース料の支払が毎月一定額によることと約定されていても,それはユーザーに対して期限の利益を与えるものにすぎず,各月のリース物件の使用と各月のリース料の支払とは対価関係に立つものではありません(最高裁平成7年4月14日判決)。
そのため,破産手続開始決定の時点での未払リース料債権は,その全額が破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権として破産債権となります(期限の利益は,破産手続開始決定により失われることにつき民法137条1号)(更生手続において未払リース料債権が更生債権となることにつき最高裁平成7年4月14日判決)。
また,破産手続開始決定前の債務不履行を理由にリース業者がリース契約を解除した場合の規定損害金請求権も破産債権となります。
(2) ファイナンス・リース契約におけるリース物件は,リース料が支払われない場合には,リース業者においてリース契約を解除してリース物件の返還を求め,その交換価値によって未払リース料や規定損害金の弁済を受けるという担保としての意義を有します(最高裁平成20年12月16日判決)。
そのため,リース料債権は別除権付債権となり,破産管財人は別除権付破産債権として認否をすることとなります。
(3) リース物件の引き揚げの根拠については,取戻権(破産法62条)の承認手続(破産法78条2項13号)による場合と,別除権の承認手続(破産法78条2項13号)の双方があり,引き揚げ手続自体については実務的に余り差異がないことから,いずれの手続でも認められています。
なお,取戻権又は別除権の目的物の価額が100万円以下である場合,破産裁判所の許可は不要です(破産法78条3項1号・破産規則25条)。
(4) ファイナンス・リース取引とは,①リース契約に基づくリース期間の中途において当該リース契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引(=解約不能のリース取引)で,②当該リース契約により使用する物件(=リース物件)の借主が,当該リース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ,かつ,③当該リース物件の使用に伴って生じる費用等を実質的に負担することとなるものをいいます(財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則(昭和38年11月27日大蔵省令第59号)8条の6第1項柱書)。
(5) ちなみに,いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は,無効です(最高裁平成20年12月16日判決)。
2 メンテナンス・リース契約の場合
(1) メンテナンス・リース契約の場合,賃貸借的性質が強いため,双方未履行の双務契約として破産法53条が適用されます。
そのため,破産管財人の選択に基づき,破産手続開始決定後のリース料債権が財団債権となることがあります(破産法148条1項7号)。
(2) オペレーティング・リース取引とは,リース取引のうち、ファイナンス・リース取引以外のものをいいます(財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則8条の6第2項本文)。
そして,オペレーティング・リース取引のうち,リース物件のメンテナンス料金が含まれ,メンテナンスまで請け負う契約がメンテナンス・リース取引となります。
第6 破産債権届出と時効中断
1 破産債権者が債権届をした時点で,時効中断効が発生します(民法152条)。
2 破産手続参加は,破産債権者の権利行使としての実質を有し,民法152条の規定によって破産手続参加に認められる時効中断の効力は,右権利行使が継続している限り維持されるものです(最高裁昭和53年11月20日判決,及び最高裁昭和57年1月29日判決)。
3 執行力のある債務名義又は終局判決を有しない破産債権者は,破産債権の届出により破産手続に参加し破産債権者としてその権利を行使していることになるのであって,債権調査期日において破産管財人又は他の債権者から異議が述べられても,破産債権者は依然として権利を行使していることに変りはなく,右異議は,単に破産債権の確定を阻止する効力を有するにとどまり,これによって破産債権届出の時効中断の効力になんら消長を及ぼすものではありません(最高裁昭和57年1月29日判決)。
4 債権者が主たる債務者の破産手続において債権全額の届出をし,債権調査の期日が終了した後,保証人が,債権者に債権全額を弁済した上,破産裁判所に債権の届出をした者の地位を承継した旨の届出名義の変更の申出をしたときには,右弁済によって保証人が破産者に対して取得する求償権の消滅時効は,右求償権の全部について,右届出名義の変更のときから破産手続の終了に至るまで中断します(最高裁平成7年3月23日判決)。
なぜなら,保証人は,右弁済によって破産者に対して求償権を取得するとともに,債権者の破産者に対する債権を代位により取得するところ(民法501条),右債権は,求償権を確保することを目的として存在する附従的な権利であるから(最高裁昭和61年2月20日判決),保証人がいわば求償権の担保として取得した届出債権につき破産裁判所に対してした右届出名義の変更の申出は,求償権の満足を得ようとしてする届出債権の行使であって,求償権について,時効中断効の肯認の基礎とされる権利の行使があったものと評価するのに何らの妨げもないし,また,破産手続に伴う求償権行使の制約を考慮すれば,届出債権額が求償権の額を下回る場合においても,右申出をした保証人は,特段の事情のない限り,求償権全部を行使する意思を明らかにしたものとみることができるからです。
5 届出債権につき債権調査の期日において破産管財人,破産債権者及び破産者に異議がなかったときであっても,求償権の消滅時効の期間は、民法174条の2第1項により10年に変更されるものではありません(最高裁平成7年3月23日判決)。
なぜなら,破産法221条1項により債権表に記載された届出債権が破産者に対し確定判決と同一の効力を有するとされるのは,届出債権につき異議がないことが確認されることによって,債権の存在及び内容が確定されることを根拠とするものであると考えられるところ,債権調査の期日の後に保証人が弁済によって取得した求償権の行使として届出債権の名義変更の申出をしても,右求償権の存在及び内容についてはこれを確定すべき手続がとられているとみることができないからです。
6 外部HPの「主債務と保証債務の時効」が参考になります。
6 外部HPの「主債務と保証債務の時効」が参考になります。
第7 無委託保証人の弁済に基づく求償権と,破産債権該当制及び相殺の可否
1 無委託保証人の弁済に基づく求償権と,破産債権該当性(積極)
保証人は,弁済をした場合,民法の規定に従って主たる債務者に対する求償権を取得するのであり(民法459条,462条),このことは,保証が主たる債務者の委託を受けてされた場合と受けないでされた場合とで異なるところはありません(以下,主たる債務者の委託を受けないで保証契約を締結した保証人を「無委託保証人」といいます。)。
このように,無委託保証人が弁済をすれば,法律の規定に従って求償権が発生する以上,保証人の弁済が破産手続開始後にされても,保証契約が主たる債務者の破産手続開始前に締結されていれば,当該求償権の発生の基礎となる保証関係は,その破産手続開始前に発生しているということができるから,当該求償権は,「破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」(破産法2条5項)に当たります。
そのため,無委託保証人が主たる債務者の破産手続開始前に締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合において,保証人が主たる債務者である破産者に対して取得する求償権は,破産債権となります。
2 無委託保証人の弁済に基づく求償権と,相殺の可否(消極)
(1) 破産者に対して債務を負担する者が,破産手続開始前に債務者である破産者の委託を受けて保証契約を締結し,同手続開始後に弁済をして求償権を取得した場合には,この求償権を自働債権とする相殺は,破産債権についての債権者の公平・平等な扱いを基本原則とする破産手続の下においても,他の破産債権者が容認すべきものであり,同相殺に対する期待は,破産法67条によって保護される合理的なものです。
しかし,無委託保証人が破産者の破産手続開始前に締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をして求償権を取得した場合についてみると,この求償権を自働債権とする相殺を認めることは,破産者の意思や法定の原因とは無関係に破産手続において優先的に取り扱われる債権が作出されることを認めるに等しいものということができ,この場合における相殺に対する期待を,委託を受けて保証契約を締結した場合と同様に解することは困難といえます。
そして,無委託保証人が上記の求償権を自働債権としてする相殺は,破産手続開始後に,破産者の意思に基づくことなく破産手続上破産債権を行使する者が入れ替わった結果相殺適状が生ずる点において,破産者に対して債務を負担する者が,破産手続開始後に他人の債権を譲り受けて相殺適状を作出した上同債権を自働債権としてする相殺に類似し,破産債権についての債権者の公平・平等な扱いを基本原則とする破産手続上許容し難い点において,破産法72条1項1号が禁ずる相殺と異なるところはありません。
そうすると,無委託保証人が主たる債務者の破産手続開始前に締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合において,保証人が取得する求償権を自働債権とし,主たる債務者である破産者が保証人に対して有する債権を受働債権とする相殺は,破産法72条1項1号の類推適用により許されません(最高裁平成24年5月28日判決)。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)。
2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件,弁護士費用,事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。