債務整理一般のデメリットではない事項

第0 目次

第1 総論
第2 自己破産でない限り,法令上の資格制限は発生しないこと
第3 雇用契約は原則として終了しないこと
第4 賃貸借契約は原則として解除されないこと
第5 債務整理中でも使用できる,ETCパーソナルカード

第1 総論

1 任意整理はもちろん,自己破産又は個人再生をしたとしても,①戸籍又は住民票に記載されることはありませんし,②選挙権が剥奪されることもありませんし,③健康保険に入れなくなるといったこともありませんし,④公的年金の受給権を失うこともありませんし,⑤日常の家財道具等を没収されることもありません。

2 借入のない金融機関との間であれば,当然,引き続き預貯金取引をすることはできます。

第2 自己破産でない限り,法令上の資格制限は発生しないこと

   信用情報機関への事故情報の登録は,法令上の資格制限とは一切関係がありませんから,自己破産をしない限り,法令上の資格制限は発生しません。

   そのため,任意整理又は個人再生にとどまる場合,警備員なり保険外交員なりといった法令上の資格制限のある職業に引き続き従事することができます(ただし,職場に居づらくなる可能性があるといった事実上の問題は別です。)。

第3 雇用契約は原則として終了しないこと

1 労働者が自己破産をしたとしても,法令上の資格制限のある職業に従事していない限り,雇用契約が当然に終了することはありません。

2   使用者が破産手続開始の決定を受けた場合,期間の定めの有無を問わず,労働者又は破産管財人(使用者側です。)のいずれからでも,解約の申入れをすることができ(民法631条),申入れ後2週間を経過すれば雇用契約が終了し(民法627条),各当事者は相手方に対し解約による損害賠償を請求することはできません。

第4 賃貸借契約は原則として解除されないこと

1 自己破産をしたとしても,賃料を滞納していない限り,賃貸借契約が解除されることはありません。
   なぜなら,平成16年6月2日法律第76号(平成17年4月1日施行)による民法改正において,賃借人の破産を賃貸借契約の解除事由としていた民法621条が削除されたからです。

2 公営住宅の使用関係については,公営住宅法及びこれに基づく条例が特別法として民法及び借地借家法に優先して適用されるものの,法及び条例に特別の定めがない限り,原則として一般法である民法及び借地借家法の適用があり,その契約関係を規律するについては,信頼関係の法理の適用があります。

   そのため,公営住宅の使用者が法の定める公営住宅の明渡請求事由に該当する行為(例えば,法32条1項2号所定の,3ヶ月以上の家賃の滞納)をした場合であっても,賃貸人である事業主体(例えば,大阪府知事又は大阪市長)との間の信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情があるときには,事業主体の長は,当該使用者に対し,その住宅の使用関係を取り消し,その明渡しを請求することはできません(最高裁昭和59年12月13日判決)。

3 公営住宅の例としては,①大阪府住宅供給公社が管理している大阪府営住宅,及び②大阪市住宅供給公社(愛称は「大阪市住まい公社」)が管理している大阪市営住宅があります。

第5 債務整理中でも使用できる,ETCパーソナルカード

1 債務整理を開始した場合であっても,ETCカードについては,あらかじめ保証金(デポジット)を預託することを条件とするETCパーソナルカードを利用することはできます。
   これは,NEXCO東日本/中日本/西日本,首都高速道路株式会社,阪神高速道路株式会社,本州四国連絡高速道路株式会社の6社(高速道路株式会社法(平成16年6月9日法律第99号)に基づき,平成17年10月1日に日本道路公団等が民営化されて発足しました。)が共同して発行するETCカードです。
   ETCパーソナルカードを利用する場合,平均利用月額(有料道路の月平均利用額)の4倍の額と,年間最高利用月額(年間で有料道路を最も多く利用する月の金額)のいずれか多い額を保証金として預託する必要があります。
   申込用紙については,サービスエリア等のインフォメーションに置いています。

2 ETCパーソナルカードについては,任意整理の場合はもちろん,自己破産又は個人再生を申し立てる前であっても作成することができます。
   ただし,自己破産又は個人再生の場合,デポジットの額を裁判所に申告する必要がありますから,ETCパーソナルカードを作成した場合,その旨を受任弁護士にご連絡下さい。

3 ETCシステム(=ノンストップ自動料金支払システム)とは,無線通信により通行料金の支払いに必要な手続を自動的に行う仕組みをいいます(平成20年12月1日付のETC利用規定2条参照)。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。