同時廃止決定,異時廃止決定及び同意廃止決定
第0 目次
第1 総論
第2 法人に関する同時廃止決定を出してもらうための条件
第3 法人の納税義務は異時廃止決定後も存続すること
第4 破産手続が終了した株式会社に財産が残存する場合の取扱い
第1 総論
2(1) 破産手続廃止は,破産債権者に対し配当するだけのお金が破産者にない場合に行われる手続でありますところ,破産者は99万円までは手元に残せるほか,破産管財人の報酬等が破産者の財産から天引きされますから,個人の自己破産の場合,9割以上が「破産手続廃止」という形で終わります。
3 配当の可能性がある場合,破産管財人が,債権調査手続(通常は一般調査期日が指定されます(破産法31条1項3号)から,期日型といいます。)の終了後であって,破産財団の換価が終了してから(破産法195条1項・204条1項・208条1項参照),裁判所書記官の許可(破産法195条2項,204条1項,208条1項前段)を得て,破産債権者に対し配当を実施することになります(破産法193条ないし215条参照)。
4 配当の可能性がない場合,配当の前提となる債権調査手続を実施するだけ無駄ですから,債権調査期日は指定されないのが通常です(留保型。破産法31条2項参照)。
5 破産債権者は,債権者集会の期日において異時廃止に対して意見を述べることができます(破産法217条1項後段)ところ,破産債権者が異時廃止に対して意見を述べる場合,意見の理由をも述べる必要があります(破産規則71条2項)。
6 ①破産債権者が破産管財人から否認権を行使された結果負担するに至った債務と,②破産者の破産債権者に対する債務と相殺することを許されません(破産法71条1号。なお,最高裁昭和39年3月24日判決参照)。
第2 法人に関する同時廃止決定を出してもらうための条件
第3 法人の納税義務は異時廃止決定後も存続すること
以下,裁決文からの引用です。
会社法第471条第5号は、株式会社は、破産手続開始の決定により解散する旨、同法第475条第1号は、株式会社は、解散した場合には、破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合等を除き、同法第2編第9章に定めるところにより清算をしなければならない旨、同法第476条は、清算をする株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす旨、それぞれ規定しているところ、ここにいう「清算」とは、同法第481条に規定する清算人の職務からみて、①現務の結了、②債権の取立て及び債務の弁済、③残余財産の分配をその内容とするものと解され、これら清算人の職務が全て終了して初めて、清算が結了するものと解される。
そして、会社法第475条第1号が、株式会社は解散した場合には清算をしなければならない旨の規定から、破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除いたのは、破産管財人が、破産会社の破産手続において、破産法の定める残余財産の管理、換価、配当等の破産手続を行って、当該破産手続が終結すれば同条に規定する「清算」が行われたのと同じことになるからであって、破産法第35条が、会社法第476条と同様に、破産手続開始の決定によって解散した法人が破産手続による清算の範囲内において破産手続終了まで存続する旨を規定しているのも、同様の趣旨によるものと解される。
そうすると、最後配当、簡易配当又は同意配当が終了した後に行う破産手続終結の決定(破産法第220条)によって破産手続が終了した場合には、破産会社の清算手続が終了したということができるが、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認められる場合に、①破産手続開始の決定と同時に行う破産手続廃止の決定(同法第216条の同時廃止)又は②破産手続開始の決定後に行う破産手続廃止の決定(同法第217条の異時廃止)によって破産手続が終了した場合には、破産手続が終結に至らないまま破産手続が終了していることになるから、会社法第475条に規定する「清算」が行われた場合と同じであるということはできない。
したがって、これら破産手続廃止の決定により破産手続が終了した場合は、会社法第475条第1号に規定する「当該破産手続が終了していない場合」には当たらず、また、清算が破産手続によって行われなくなった以上、それ以前の破産手続開始の決定による株式会社の解散の効果として、当該株式会社は、同法第475条第1号の規定により清算をしなければならないこととなり、同法第476条の規定により、清算の目的の範囲内で法人格が存続するものと解される。
第4 破産手続が終了した株式会社に財産が残存する場合の取扱い
1 司法書士内藤卓のLEAGALBLOGの「破産手続が終了した株式会社に財産が残存する場合の清算人の選任等」には以下の記載があります。
破産手続が終結したものの残余財産が存するとき,会社法が定める清算手続に入り,取締役は,退任する(会社法第477条第6項)ことになるが,この場合の清算人は,最高裁昭和43年3月15日判決のとおり,従前の取締役が清算人に就任するのではなく,会社法第478条第1項第2号又は第3号のいずれかの規定によって定めることとなる。
2 関連する最高裁判例は以下のとおりです。
① 最高裁昭和43年3月15日判決の裁判要旨
株式会社が破産宣告とともに同時破産廃止の決定を受けた場合において、なお残余財産があるときは、従前の取締役が当然に清算人となるものではなく、商法第四一七条第一項但書(現在の会社法475条1号及び478条1項2号・3号)の場合を除き、同条第二項(現在の会社法478条2項)に則り、利害関係人の請求によつて、裁判所が清算人を選任すべきものと解するのが相当である。
② 最高裁平成12年4月28日決定の裁判要旨
破産者が株式会社である場合を含め、破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき別除権者がその放棄の意思表示をすべき相手方は、破産者である。
→ 最高裁平成12年4月28日決定の事案では,破産財団から放棄された建物につき,破産管財人に対する別除権放棄の意思表示は無効であると判断されました。
③ 最高裁平成16年6月10日判決の判示事項
有限会社の破産宣告当時に取締役の地位にあった者は,破産宣告によっては取締役の
地位を当然には失わず,社員総会の招集等の会社組織に係る行為等については,取
締役としての権限を行使し得ると解される。
④ 最高裁平成16年10月1日決定の裁判要旨
破産者が株式会社である場合において,破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき,別除権者が破産者の破産宣告当時の代表取締役に対してした別除権放棄の意思表示は,これを有効とみるべき特段の事情の存しない限り,無効である。
→ 別除権放棄の意思表示を受領し,その抹消登記手続をすることなどの管理処分行為は,会社法478条1項2号若しくは3号の規定による清算人(=定款で定める者若しくは株主総会の決議によって選任された者)又は会社法478条2項の規定によって選任される清算人により行われることになります。
3 「配当手続」も参照してください。
2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。